ただ、そういう抑圧されたマイノリティというのはしばしば芸術分野では高い評価を勝ち取っていきます。
例えば、「Raï」というマグレブ地方の伝統的音楽がフランスのPopsやRockと結びつき、どことなくエスニックで、それでいてどことなく軽快な音楽がフランスでは既に一大分野を築いています。その「Raï」の貴公子といわれているのが、Faudelです。
同じく「Raï」の巨匠であるRachid Tahaもそうであるとおり、Faudelもまた、アラブ色の強い楽曲と、Pop・Rock色の強い楽曲とを適度に使い分けます。今週のフランスシングル チャートで1位を獲得した"Mon Pays"はPop色の強い楽曲で、言われないと「Raï」とは気がつかないかなあとすら思えてしまいます。
アニメファンには「Shion a demandé à la lune」で使われている音楽ということで知られているかも知れませんが、オリジナルのPVはアニメではありません。
(私は月に訊いてみた。太陽はそのことを知らない)J'ai demandé à la lune
Et le soleil ne le sait pas
で始まる歌詞も神秘的ですが、何度も繰り返すAメロも何となく神秘的です。
また、PVに出てくる女の子が、最初は赤ん坊だったのが、徐々に大きくなり、最後にはコーラスに参加してしまえるまでになるというのも、何となく雄大な構想っぽくてよいです。
Ilonaは、昨年"Un Monde Parfait"(こちらでPVが見れます。)で大ブレーク(フランスシングルチャート16週連続1位!)した1993年生まれのシンガーです。また、ジャケットの絵はもちろん、PVもほぼ全編アニメということでも有名だったりします。
ところで、このIlonaの"Un Monde Parfait" (直訳すると「完全な世界」)は、日本では、「ときめき☆アーモンドパフェ」という邦題で売り出されたのだそうです。正直、ユニバーサルの担当者のセンスを疑うところです。
All Saintsといえば、どうしても "Never Ever" での神々しさすら感じされるパフォーマンスを思い起こさずにはいられません。All Saintsは元々美女4人組のボーカルユニットという位置づけだったわけですが、この "Never Ever" についていえば、そういうビジュアル面を全く度外視しても「凄い」の一言につきるとすら言い切ってしまえます。音楽的には、こんな分析もなされていますが、音楽などというものは、聴いていて心地よければ、それでよいのです。
とはいえ、ビジュアルも見たいとのことであれば、YouTube等で視聴可能なPV映像よりも、Real社が提供しているLive映像の方が素敵です。
Amelは、"Nouvelle Star 2"では準優勝に終わったのですが、昨年リリースしたシングル"Ma Philosophie" (30秒分のPVがこちらで視聴できます。)は、大ヒットしました(internet radioでも、何度もかかっていました。)。
"Viser la Lune"で始まるさびの部分も雄大で素晴らしいですが、R&B向きの声と相まって、Aメロ部分から十分に聴かせます。
また、" Je n'ai qu'une philosophie/Être acceptée comme je suis"(私には一つの哲学しかない。あるがままに受け止められるということ。)で始まる、Amel自身が作詞した歌詞もなかなかに素晴らしく、才能を感じさせます。
なお、このPhilippe Katerineさんですが、1968年生まれ、ということで私と同い年です……。
実は、star養成番組が流行っているのはFranceだけではなく、お隣Spainもそのようです。そのSpainのstar養成番組”
Operacion
Triunfo”の第1週目で脱落したのに、starの道を歩み出したが、1978年Madrid生まれのsinger-songwriter兼
法学士, Mai Meneses です。
彼女が、Kim Fanloとともに2006年に結成したユニット、Nena Daconteは、既に” MTV European Music Award”にノミネートされるまでに至っています。
例えば、Spainのsingle chartで最高11位を記録した”Idiota” (こちらでPVが 見れます。)は、最高に単調なギターがとても印象深い、哲学的な作品に仕上がっています。Spain chartで最高1位を記録した” En Qué Estrella Estará”は明るく楽しい曲ですが、”Idiota”の不思議な感覚の方が、長く耳に残る感じです。
The Mamas & the Papas の"California Dreamin'" もまた、多くのアーティストによりカバーされた名曲の一つです。The Mamas & the Papas のオリジナルバージョンや、The Beach Boys のバージョンも格好いいのですが、その中でも注目されるのは、テクノポップス的にこれをアレンジしきってしまったRoyal Gigolosバージョン(PVがここで視聴できます。)です。
(承前)
Lunikの"Little Bit"
ですが、今週の順位はふるわなかったものの、最高でスイス国内シングルチャート7位まで記録していますし、"Little Bit"
が収録されているアルバム"Preparing To Leave"は、スイス国内チャートで1位を記録しています。
"Little Bit" のPVは、Lunikの公式サイトで視聴することができます(ディープリンクを貼ることには失敗しました。)。もっとも、PVはかなり重いし、ボーカルのJAËLは
特にかわいいわけではないので、公式サイトで音楽だけを試聴した方がいいかもしれません("Little
Bit"はフルコーラス聴けます。他の楽曲は、途中でフェイドアウトしますが。)。サウンド的にはアコースティック色の強いロックという感じで、ちょっと
メランコリックな感じです(それは、"Preparing To
Leave"に収録された他の楽曲も試聴してみた感想としては、それはLunikの特色でもあるように思いました。)。
ヨーロッパの小国のアーティストは大変です。なにしろ、国内の市場規模は小さいし、普通の市民が語学に堪能で「言葉の壁」が低すぎるので、ヒットチャートの上位を外国勢にかっさらわれてしまいます。例えば、スイスのヒットチャートを掲載しているswisscharts.comで
は、スイス人アーティストの作品については例のスイス国旗のマークを付けているのですが、2006年11月12日付シングルチャートでいうと、スイス人
アーティストの作品は、Lovebugs Feat. Lene Marlinの"Avalon"の10位が最高で、次がLunikの"Little
Bit"の31位、その次がBaschiの"Bring En Hei"の54位という状況です。
この10位の"Avalon"は、PVがLovebugsの公式サイトで視聴できますが、ゲストに招いたノルウェー人シンガーソングライターLene MarlinとのTwin Vocalのハーモニーが素晴らしい作品に仕上がっています。